株式会社the senseが運営するファッションブランド「KsG」は、10代から20代前半の女性を中心に、InstagramやSNSを通じて人気が広がり、2024年4月時点でのInstagramフォロワー数は6.4万人に達しています。
「KsG」では、2023年8月に初の常設店を原宿にオープンしたことをきっかけに、オムニチャネル会員連携アプリ「Omni Hub」を導入し、店舗とオンラインストアの顧客情報一元化やポイント一元化を図り、オムニチャネル化を実現しました。また、自社で会員プログラムやモバイルアプリを開発するなど、顧客ロイヤリティを高める施策にも積極的に取り組まれています。
the sense様がOmni Hubを導入された背景や導入後のご感想について、代表取締役 上岡様、テックリード 中野様にお話を伺いました。
KsG(ケーエスジー)
韓国の最新ストリートファッションを体現したセレクトショップ「KsG」。
ECをビジネスの軸としながらも、2023年8月にはラフォーレ原宿に、2024年3月には梅田ESTに店舗を構え、積極的な店舗展開を目指し活動中。
現在では『韓国ストリート』の検索で1位の地位を確立し、急成長中のブランドです。
オンラインストア:https://ksg-store.com/
インタビュイー
株式会社the sense 代表取締役 上岡 耕太朗様
株式会社the sense テックリード 中野 智也様
メディア発の韓国ストリートファッションブランドとして「KsG」誕生
― はじめに、貴社や「KsG」について教えてください。
上岡様:私が大学在学中に起業し、2018年に株式会社the senseを創業しました。創業当初は、メンズコスメのD2C事業を立ち上げ、運営をしていました。
その後、コロナ禍となりインスタコマースやD2Cビジネスが注目されるようになったことを受けて、ファッションブランドとして「KsG」を立ち上げました。「KsG」は、オンラインストアとInstagramを中心に販売を行っていましたが、2023年8月に初の常設店をラフォーレ原宿にオープンしました。
― 中野様のご担当領域について教えてください。
中野様:私は、テックリードを務めています。創業当初のメンズコスメ事業から携わっており、ECの立ち上げに際して「Shopify」テーマの開発、バックエンドの開発なども担当しています。
「Shopify」に求めたのは、スピード感とカスタマイズ性の高さ
― 「KsG」のオンラインストアに「Shopify」を採用した理由について教えてください。
中野様:実は、メンズコスメのオンラインストアを運営していた際にも「Shopify」を利用していました。メンズコスメ事業では、弊社の強みであるコンテンツ力を活かして売上につなげるために、ブログ記事を通じたオンラインストアでの購入が重要指標となっていました。その際、技術選定として拡張性が高い「Shopify」が最適であると判断しました。
「KsG」立ち上げの際には「サイト立ち上げのスピード感」と「カスタマイズ性の高さ」の2点を重視していました。メンズコスメ事業での運用経験を踏まえ「Shopify」を選択しました。
― 2023年8月にオープンした実店舗のPOSレジを「スマレジ」に決めた理由を教えてください。
中野様:弊社初の常設店の運営であったため、これまでのECのビジネスとは異なる点が多いことが不安要素としてありました。
その中で「スマレジ」は、一般的なレジ機能に加え、タイムカード機能など店舗運営に必要な機能が備わっている点や、電話での問い合わせにも迅速に対応してもらえる点など、サポート体制が整っており、日本の店舗運営に最適化されている点が決め手となり、採用することにしました。
― オンライン発のブランドがオフラインに展開する際、一時的なポップアップストア出店を複数回経て常設店を開くケースも多いです。貴社はどのようなプロセスで常設店出店となったのですか?
上岡様:弊社ではポップアップストア出店は行わずに常設店を出店しました。
おっしゃる通り、通常D2Cアパレルブランドは、数か月から1年程度の期間で複数回のポップアップ出店を行い、その経験をもとに常設店の出店を検討するケースが多いです。
しかし、現在の「KsG」の成長スピードを鑑みると、ポップアップ出店を経てからの店舗展開では、ブランドの成長スピードと店舗展開のタイミングにずれが生じてしまう懸念がありましたので、出店は初めから常設店と決めていました。
KsGの常設店を計画するにあたり「1号店は東京で」という想いが強かったのですが、ちょうどラフォーレ原宿さんとのご縁もあり、とても迅速に出店を決めることができました。原宿カルチャーや、ラフォーレ原宿さんのユーザー層と「KsG」の相性も非常に良いと思いますし、『この出店は絶対にうまくいく』と確信していましたので、出店までの準備も自信を持って進めていきましたね。
Omni Hubで連携のデータを活用し、会員プログラムとフレキシブルなCRM施策を実現
― Omni Hubで連携している顧客情報について、貴社での活用方法を教えてください。
上岡様:店舗とオンラインの購入金額を合算し「会員ランク」の判定に利用しています。
他にも、お客様の好みと合うメルマガやLINEのメッセージを配信するために、購入履歴などのデータを活用しています。
「KsG」は、韓国ストリートを中心に幅広くジャンルを取り揃えているため、お客様によって好みの系統が分かれています。
よりお客様に適切なメッセージを届けるためには、細かくて正確なセグメント分けが非常に重要になります。このセグメント分けに、購入履歴や、タグ、メタフィールドの項目などを活用しており、これらは「KsG」のCRM施策において、とても重要な役割を担っています。
中野様:「Omni Hub」の会員項目連携機能(※)も利用しており、生年月日や会員ランクなどの情報もShopifyからスマレジへ連携しています。今後、このようなデータも活用したOMO施策など、お客様へのコミュニケーションをアップデートしていきたいと考えています。
※会員項目連携機能について:https://omni-hub.notion.site/2cdc7727bfd2456eb23c42eac441f3a4
― ラフォーレ原宿は人通りの多い施設ですし、会員登録の案内など大変なことはありませんか?
上岡様:お客様がご登録しやすいように、レジ前にQRコードのPOPを設置したり、店舗スタッフの声かけを工夫したりすることで、比較的スムーズにご登録いただけています。
年間のご購入金額に応じて、割引クーポンや送料無料などの特典を用意し、お客様にとってのメリットを伝えることで会員登録をしていただいています。スタッフもお客様もスマホネイティブな世代ですので、アプリをインストールして会員登録する、といった体験は、自然なものになっていますよね。
データ連携をOmni Hubに任せることで、自社リソースは顧客体験向上に集中
― 貴社はD2C企業としては珍しく、エンジニアとして中野様がいらっしゃり、その強みを活かして「モバイルアプリ」や「会員ランク」判定の仕組みなどを自社開発されています。その中で、「店舗とECの会員連携」は内製化せず、Omni Hubを採用していただきました。自社開発と外部サービスを利用する判断は、どのように決めていらっしゃいますか?
中野様:まずは『どのくらいの工数で実現の可能性があるか?』を見ています。
Shopifyは、「Shopify Flow」や「メタフィールド」「メタオブジェクト」といった機能が出たことにより、出来ることが格段に増えたと感じています。私達が開発を行う際にも、これらの機能を活用し実装することが多いのですが、ROIの適正化を考えて『Shopifyのデフォルトの機能にどれくらい追加すれば実装できそうか?』という点を、判断基準として持っています。
今回の「店舗とECの会員連携」に関しては、KsGの店舗オープンに伴い、機能をリリースしなければならない日が決まっていました。万が一、開発中にトラブルが発生し、機能リリースが遅れた場合には、お客様にご迷惑をおかけしてしまうことになりますので、そのようなことは絶対に避ける必要がありました。このような背景も鑑みると、自分達で工数をかけて開発するには、少しリスクが大きいと感じました。
Omni Hubさんを使っても、私達がやりたいと思っていたことは十分に実現できましたので、自社開発ではなくOmni Hubさんを利用するという選択をしました。
上岡様:また、自社開発したものが、お客様へメリットを提供し、かつ一定のクオリティを保持できるかどうかも、判断基準に入れています。自社開発した機能がお客様にとって不便に感じてしまうケースもあると考えており、その場合にはもちろん自社開発を進めることはしません。
加えて、自社の限られたリソースをどこに注力するべきなのかを考える際には、「快適な購買体験の提供」や「提案精度の向上」を実現する機能開発の方が、優先順位が高くなります。
会員プログラムやCRMの基盤には必要不可欠な「会員データの連携」の部分は、Omni Hubに任せることで、私達はより優先度の高い快適な購買体験を提供する機能開発や、提案の精度を高める施策に注力することができますので、助かっていますね。
― まさにOmni Hubはそのような点を意識して、サービス運営していますので嬉しいお言葉です。
アパレル業界におけるOMOの「デファクトスタンダード」創造を目指す
― 今後の展望について教えてください。
上岡様:「KsG」は主に10代から20代前半をターゲットとしていますが、「KsG」のファンのみなさんが年齢を重ねた時にも愛用してもらえるような、新たなブランドラインの展開も検討していきたいと思っています。
また、アパレル業界のOMOは、まだまだ発展途上だという印象を持っています。
その要因の1つとして挙げられるのが、お客様が店舗で試着し、その後オンラインストアで購入して下さったとしても、店舗での行動がトラッキングされていないため、店舗の貢献度が可視化できないという点です。
私たちは店舗とオンラインの双方にメリットをもたらし、ブランド全体の成長に繋がる仕組みを試行錯誤しています。ひいては、アパレル業界におけるOMOのデファクトスタンダード(業界水準)を創っていきたいと考えております。
Omni Hubさんとしても、オフラインの行動をトラッキングできる機能や実現方法などがあれば、ぜひご提案いただけると嬉しいです。
※この記事は、2023年12月に実施したインタビューに基づいて作成したものです。
※記事の内容は掲載時点のものです。
株式会社the senseについて
韓国ストリートレディースファッションブランド「KsG」や韓国メンズファッションブランド「Otte」などの複数のアパレルブランドを運営。SNSを活用したマーケティングを強みにフォロワー数を10万人以上に拡大し、特に「KsG」は東京と大阪に新店舗を開設するなど、急成長を続けています。 自社ブランド展開で培ったノウハウを活かして、アパレル事業者向けにSaaSサービスや支援事業も提供しております。EC・SNS運営はもちろん、自社のエンジニアチームによるサイトの構築や技術開発など、幅広くサポートを行っています。
会社名:株式会社the sense
所在地:〒107-0061 東京都港区北青山2丁目14−4 ジ アーガイル アオヤマ 6F
代表者:上岡 耕太朗
コーポレートサイト:https://thesense.tokyo/
アパレル事業者向け支援サービスについて:https://cross-stock.com/
オムニチャネル会員連携アプリ「Omni Hub」について
「Omni Hub」(オムニハブ)は、「店舗とECをつなぎ、購買体験をアップデートする」をミッションに掲げる、オムニチャネルでの顧客体験向上に貢献するアプリです。初期費用なし、開発不要でShopifyで構築したオンラインストアとスマレジで管理する店舗の間で顧客情報を一元化することで、共通でのポイント施策実施やメッセージ配信など、顧客体験の向上による売上増加をご支援しています。
本アプリは、Shopify Experts、スマレジ Developers Expertに認定されている株式会社フィードフォースが提供しています。(※2つの認定を有している国内唯一の企業です。)
「Omni Hub」サービスサイト : https://omni-hub.jp/
「Omni Hub」Shopifyアプリページ:https://apps.shopify.com/omni-hub?locale=ja
「Omni Hub」スマレジアプリページ : https://apps.smaregi.jp/apps/114
「Omni Hub」サポートページ:https://omni-hub.notion.site/Omni-Hub-00d28b314cfa4b27b4e1f470be99ac4b