創業62年の酒販店 株式会社いまでや様は、千葉や東京を中心にお酒のセレクトショップ「IMADEYA」を運営するほか、EC事業や全国の飲食店への卸売事業、海外輸出事業などを展開しています。

いまでや様では、コロナ禍中にEC需要が拡大したことを受けオンライン事業の強化を図った後、2023年4月に「Shopify Plus」を利用しオンラインストアのリニューアルを行いました。同時にオムニチャネル会員連携アプリ「Omni Hub」を導入し、OMO(Online Merges with Offline)戦略にも積極的に取り組まれています。

いまでや様がオムニチャネル化を推進した背景やOMO実践術について、EC事業部 ONLINE STOREリーダー小川様にお話を伺いました。

※本記事は、2024/5/21に開催されたShopify Partnersロードショー『「Shopify Plus」で実現する複数顧客接点の情報統合・分析の方法・事例紹介!』の登壇内容に基づいて作成したものです。
※記事の内容は、2024/5/21登壇時点のものです。

IMADEYA(いまでや)

IMADEYAは「酒の魅力を今に伝え、未来に繋ぐ」を経営理念とし、千葉・都内を中心に6店舗並びにONLINE STOREでの小売、全国の飲食店約7,000軒並びに海外輸出約20ヶ国への卸売事業を行う企業。日本酒蔵約200社、日本ワイナリー約80社、焼酎蔵約60社をはじめ、世界各国のワインなどを取り扱い、その魅力を発信する酒販事業を展開しています。
オンラインストア:https://imadeya.co.jp/

インタビュイー

株式会社いまでや EC事業部 ONLINE STOREリーダー 小川 沙織様


創業62年の酒屋「IMADEAYA」の店舗DXとオムニチャネル化推進の背景


弊社は、1962年に千葉県の酒屋として創業いたしました。現在は千葉や銀座、軽井沢などで6店舗を運営するほか、EC事業や全国の飲食店への卸売事業、海外輸出事業などを展開しています。「お酒っておもしろい」をコーポレートスローガンに掲げ、お酒の魅力をお客様にお伝えすることをミッションに活動しています。

私は、2019年に入社いたしました。当時は錦糸町の店舗(IMADEYA SUMIDA)がオープンするタイミングでしたので、錦糸町店を中心に1年ほど店舗勤務をしていました。
そんな中コロナ禍が始まり、ONLINE SROREの販売促進に注力するために、人事部から「ちょっと明日からEC事業部に行ってみない?」という誘いがありました。言葉の通り、本当に次の日からEC事業部に異動して今に至ります。

現在は、EC事業部 ONLINE STOREリーダーとして、企画やマーケティングなど全般を担当しています。

IMADEYA SUMIDA
IMADEYA GINZA

オンラインストアは、2014年頃からShopifyではないECプラットフォームで運用していましたが、2023年4月に「Shopify Plus」へシステム移行しサイトリニューアルを行いました。
モバイルアプリについては、紙のポイントカードをデジタル化するため、2019年にポイントアプリをリリースし運用していましたが、こちらもオンラインストアと同じタイミングでリニューアルを行いました。

「Shopify Plus」を選択した理由については、実は2023年のオンラインストアリニューアルよりも前に、はじめの100本」というビギナー向けコンテンツに特化したサイトの立ち上げでShopifyのスタンダードプランを使用したのがきっかけでした。

2020年に入りコロナ禍がはじまると、飲食店の営業自粛や時短要請など、お酒が提供できない状況となりました。弊社の売り上げの中心を占めるのは飲食店への卸売でしたので、当然大きな影響を受けることになりました。また店舗側でも、店舗が入っている百貨店や商業施設が休館してしまい営業ができないなど、次々と販売チャネルが絶たれていきました

一方、オンラインストアではコロナ禍の自粛期間の中で「家飲み」需要が増加していることを受けてお客様が急激に増え、売上も伸びていきました。先述の通り、オンラインストアは運用していたものの、それまで売上はあまり大きく無かったのですが、このタイミングで会社全体としてECへの注力をはじめました

日本ワイン定期便「Pratto -ぷらっと-」
IMADEYA自社熟成酒「IMADEYA AGING」

ちょうどその頃、2021年8月に清澄白河に新店舗(いまでや 清澄白河)をオープンすることになりました。コロナ禍で「家飲み」需要が拡大する一方で「お酒選びは知識がないと難しい」「種類が多すぎてどんなお酒を選んだらいいのかわからない」などの声も多く聞かれるようになりました。このような課題に応えるべく、お酒ビギナーでも楽しくお酒を選べることを目指し「ここからはじめれば好きになる」をテーマに、「IMADEYA」のスタッフが厳選した100本のお酒をご紹介、販売するお店としました。

この清澄白河店のコンセプトとして「はじめの100本」を掲げ、この店舗で取り扱うお酒のみを販売するオンラインストアとアプリ「はじめの100本」も同時にリリースしました。この時のサイト構築に使用したのが、Shopifyのスタンダードプランでした。

オンラインストア「はじめの100本」でShopifyを利用したことで、自由自在に機能を追加できるShopifyの拡張性や利便性にとても魅力を感じました。弊社は、新しいことにどんどん挑戦していく会社ですので、Shopifyであれば、その時々に必要な機能をカスタマイズすることができます。それまで弊社の変化スピードでは、1つのプラットフォームを使い続けていくことは難しいと思っていたのですが、Shopifyを利用することでその悩みも一気に解決されると感じました。

【関連記事】家飲み需要拡大を受け、IMADEYAがお酒ビギナー向けアプリ&EC「はじめの100本」をリリース。清澄白河に新店も。

いまでや 清澄白河
初心者に嬉しいお酒とおつまみのセット便「Chobitto -ちょびっと-」

「はじめの100本」の立ち上げ後は、既存のオンラインストアと2サイトを運営していたのですが、コロナ禍明けを見据えて「IMADEYA」らしい実店舗・EC・卸売の在り方や、「IMADEYA」らしい会員システムとは?を検討していました。その中で、これまでのオンラインストアでは、多くのお客様に私たちが扱うお酒の魅力を伝えきれないと感じました。

お酒には様々な種類や銘柄があり、その奥深さと面白さがあります。また、お酒を通じて人との”つながり”ができることも非常に魅力的です。このようなお酒の面白さや魅力を「IMADEYA」らしく伝えていくためにも、既存のオンラインストアと「はじめの100本」を統合し、新しいオンラインストアを立ち上げることを決めました。

そして、オンラインストアのリニューアルにあたり「人とお酒がつながる」をコンセプトに掲げ、オンラインと店舗(オフライン)を統合し、共通したお買い物体験をお届けできるようにすること。モバイルアプリについても、従来のポイントを管理するだけではなく「人とお酒がつながる」を表現することを目指しました。

【関連記事】コロナ明け初の年末に向け、酒屋業をDX。創業61年の”IMADEYA”がオンラインストア&会員向けアプリをアップデート。「人とお酒がつながる」をコンセプトにフォロー機能を追加。Shopifyを活用してCRMを強化。

「人とお酒がつながる」IMADEYAオンラインストア・アプリの独自戦略


お酒を選ぶのは、すごく難しいですよね。私自身も、いまだに迷ってしまうこともあります。嗜好品ですので、飲んでみないとわからないものを目に見える情報だけで選ぶというのはとてもハードルが高く、難しいというイメージも持たれがちです。このようなイメージを払拭すべく「お酒を楽しめるオンラインストアとアプリ」を目指しました。それに伴い、新たに「フォロー機能」や「デジタルバッジ機能」を追加しました。

「フォロー機能」とは、SNSの要素を取り入れユーザー同士がアカウントをフォローできる機能です。オンラインストアのマイページから飲んだお酒の「レビュー」を投稿したり、「推しの3本」が登録できるようにしました。レビューを読むことで、自分と似たお酒の好みを持つユーザーさんのフォローができるようになっています。

普段、食の趣味が合う友達とご飯を食べたりお酒を飲むのはとても楽しいですよね。それと同じように、「IMADEYA」のアプリを介して自分と似た趣味の人をフォローし、そのフォローした人がお勧めするお酒を知れるようにしました。

お酒と人がつながる「フォロー機能」

また、この機能は店舗接客にも活かされています。繁忙期など特に多くのお客様がいらっしゃる時期は、店舗スタッフが全てのお客様に商品をお勧めしたり、ご質問にお答えするのが難しいことがあります。そのような時でも、店舗スタッフのアカウントをフォローすることで、そのスタッフが最近飲んだお酒やレビューを見ることができます。店舗スタッフが接客をするのと同じように、お勧め商品の情報をお伝えできるようになりました。

お客様に実際にご来店いただかなくても、店舗スタッフのお勧め商品がわかったり、気になった商品をすぐに購入することができますので、これは弊社のECがテーマに掲げている「お店にいるような体験をお客様に提供する」を実現する機能だと思っています。

そしてもう1つの新機能「デジタルバッジ機能」は、条件を満たすことで「デジタルバッジ」を獲得できる機能です。この機能には、店舗とオンラインストアの顧客情報・購入情報の一元化が活かされています

この機能を導入した背景として、システム移行したことにより、管理側では顧客情報が見られるようになりましたが、店舗側のスタッフは「顔なじみのお客様でない限り、そのお客様がお酒についてどのような好みを持っているか把握することが難しい。」「実は頻繁にご購入いただいているお客様だったのに、プラスアルファの一言が言えない」というサービスの課題がありました。

このような課題を解決するために、この「デジタルバッジ機能」を考案しました。例えば、銀座店に行ったら銀座店のバッジ、ワインを購入したらワインのバッジというように、オリジナルデザインのバッジが獲得できます。お客様の購買情報を「バッジ」として可視化することで、店舗スタッフも一瞬でお客様を理解することができ、コミュニケーションが取りやすくなるようにしています。

弊社の場合、店舗同士が離れていることもありますので「銀座店にも行っていただいたんですね」や「軽井沢の店舗も行っていただいたんですね」など、店舗のレジなどでスタッフとお客様の会話がより盛り上がるように、バッジの獲得条件を設計しています。

またこのようなバッジをコレクションことが楽しいと思って下さる方もいらっしゃると思いますし、「コンプリートするぞ!」という気持ちで、何度もお店に通っていただけたら嬉しいなと思っています。こちらは私自身も大変お気に入りの機能です。

オンラインとオフラインをつなぐ「バッジ機能」

その点は、弊社もかなり試行錯誤しているところです。レビューを爆発的に増やすことは非常に難しいため、まずは弊社の社員から「レビュー」を書いてもらえるように働きかけを行いました。弊社の社員は「公認ユーザー」として登録されるのですが、働きかけの結果、弊社の社員の半数が参加してくれるようになりました。

また、レビュー機能には「わかる」ボタンという、読んだ人がリアクションをつけられる機能も用意しています。現在弊社では「レビューを書いてポイントプレゼント」などの特典施策を行っていないのですが、ポイントなどの特典が無かったとしても、レビューに対するリアクションやフォローなど、ユーザーさん同士のコミュニケーションを活性化することで「レビューを書く楽しさ」をお伝えしていけると嬉しいなと思っています。

はい、これらの情報は、Shopify上の顧客に紐づく形で、Shopify外のクラウドサーバにデータを蓄積し、モバイルアプリ上で表現するようにしています。このように、外部のデータベースと紐づける、ということもShopifyの「拡張性」の一つですね。

ECと店舗相互利用ユーザーのLTVが他の3倍!OMO実施効果


店舗のみ利用されるお客様、ECのみ利用されるお客様、店舗とECの両方を利用されるお客様、それぞれのLTVを算出したところ、店舗とECの両方を利用されるお客様のLTVが、3倍程度高い傾向があることがわかりました。

お酒の場合「店舗でしか販売できない商品」があるんです。いわゆる限定品のような商品は、転売されてしまうこともあるため「ECでは販売しないで欲しい」という蔵元さんやワイナリーさんが一定数いらっしゃいます。そのような店舗販売に限られる商品について、弊社では店舗で抽選販売を行ったり、角打ちでグラスだけでご提供するなどしています。

一方、ワインセールなどは、店舗よりもオンラインの方が早く開始されるものもありますので、IMADEYAを気に入ってくださっているお客様は、店舗とオンラインで購入する商品を上手に使い分けされていらっしゃいました。

ECを強化すると、店舗側としては売上が減少してしまうのではないか?など不安の声が挙がることもあるかと思います。しかし、店舗とEC、お互いの強みをうまく活かした戦略が立てられると、結果的にECの売り上げも店舗の売上も伸びると思います。店舗側とも平等にディスカッションをして、自分達が目指すOMOの考え方を社内に広めていくことも、EC事業部の大事な役割だと思っています。

(写真左)Omni Hub事業責任者 井形 岳史 (写真右)株式会社いまでや EC事業部 ONLINE STOREリーダー 小川 沙織様

「IMADEYA」が目指す店舗とECの壁を超えたシームレスな顧客体験の提供とShopify活用


弊社の場合は、店舗から「IMADEYA」を知っていただく方が多いと思っています。ですので店舗では、接客時の会話やワークショップ、角打ちの体験などで「IMADEYA」の魅力をお伝えしていく。オンライン上では、必要な時に必要なものがすぐに購入できる便利な環境を整えていく。様々なタイミングと場所でお客様と接点を持ち、日常生活に溶け込むことが大事だと感じています。

それを強化するために、今後より一層、一人ひとりのお客様が店舗とECという壁を越えてシームレスに楽しんでいただけるようにしていきたいと考えています。

ShopifyはただのECストアを構築するプラットフォームではなく、商品情報や顧客情報など、全ての情報が詰め込まれた「会社の根幹」のような重要なプラットフォームになり得るものだと思っています。ですので、EC部門のメンバーだけではなく、店舗のメンバーや、卸売事業部のメンバーもShopifyを使いこなすことにより、会社全体がすごく発展していくのではないかと考えています。

やはりShopifyは自由自在にカスタマイズできるところが一番の強みだと思いますので、弊社の売上の中心である業務用卸の営業の方でも、うまくShopifyを展開させていきたいなというのが、私の一つの野望としてあります。

また、モバイルアプリに関しては、まだまだ未知な部分が多いので、そのあたりの改善も今後一つ一つ丁寧に行っていきたいと考えています。

IMADEYA 千葉-本店-

※本記事は、2024/5/21に開催されたShopify Partnersロードショー『「Shopify Plus」で実現する複数顧客接点の情報統合・分析の方法・事例紹介!』の登壇内容に基づいて作成したものです。
※記事の内容は、2024/5/21登壇時点のものです。

株式会社 いまでやについて


IMADEYAは「酒の魅力を今に伝え、未来に繋ぐ」を経営理念とし、千葉・都内を中心に6店舗並びにONLINE STOREでの小売、全国の飲食店約7,000軒並びに海外輸出約20ヶ国への卸売事業を行う企業。日本酒蔵約200社、日本ワイナリー約80社、焼酎蔵約60社をはじめ、世界各国のワインなどを取り扱い、その魅力を発信する酒販事業を展開しています。

会社名:株式会社いまでや
所在地:〒260-0801 千葉県千葉市中央区仁戸名町714-4 (本社)
代表者:代表取締役社長 小倉 秀一
業務内容:「酒の魅力を今に伝え、未来に繋ぐ」を経営理念とし、千葉・都内を中心に6店舗並びにONLINE STOREでの小売、全国の飲食店約7,000軒並びに海外輸出約20ヶ国への卸売事業を行う企業。日本酒蔵約200社、日本ワイナリー約80社、焼酎蔵約60社をはじめ、世界各国のワインなどを取り扱い、その魅力を発信する酒販事業を展開しています。
Webサイト:https://imadeya.co.jp/

オムニチャネル会員連携アプリ「Omni Hub」について


「Omni Hub」(オムニハブ)は、「店舗とECをつなぎ、購買体験をアップデートする」をミッションに掲げる、オムニチャネルでの顧客体験向上に貢献するアプリです。初期費用なし、開発不要でShopifyで構築したオンラインストアとスマレジで管理する店舗の間で顧客情報を一元化することで、共通でのポイント施策実施やメッセージ配信など、顧客体験の向上による売上増加をご支援しています。

本アプリは、Shopify Experts、スマレジ Developers Expertに認定されている株式会社フィードフォースが提供しています。(※2つの認定を有している国内唯一の企業です。)

「Omni Hub」サービスサイト : https://omni-hub.jp/
「Omni Hub」Shopifyアプリページ:https://apps.shopify.com/omni-hub?locale=ja
「Omni Hub」スマレジアプリページ : https://apps.smaregi.jp/apps/114
「Omni Hub」サポートページ:https://omni-hub.notion.site/Omni-Hub-00d28b314cfa4b27b4e1f470be99ac4b