店舗とECを運営する事業者においては、「お客様がどこで何を買ったのかを一元的に把握したい」「お客様の店舗・ECの行動を分析してLINEやモバイルアプリでコミュニケーションを取りたい」と考えている方も多いのではないでしょうか。

購買チャネルや顧客接点が多様化する中で、お客様のニーズに応えて高い顧客満足を実現するためには、お客様の行動や購買を適切に集約し、お客様の興味や属性に合わせた接点を構築していくことが重要です。

Omni Hubでは店舗とECの会員情報の一元化をご支援していますが、「店舗とECの会員情報が統合されていない」「店舗で会員登録はしてもらっているが、何を買ったのかまでは把握できていない」という課題を持つ方からのご相談を多くいただきます。

弊社として、そのようなご相談をいただいた場合にお伝えしている、顧客情報を統合する上で重視するべき考え方について解説します。

顧客接点を統合した顧客データベースを構築する重要性

実店舗やオンラインストア、LINE等のSNSやモバイルアプリなど、事業運営において企業が顧客と持つ接点は多様化してきています。
顧客が受け取る情報が増える中で、顧客に合わせた情報を届けたい、と考えている方は多いのではないでしょうか。

顧客に合わせた情報を届けるためには、顧客がどのような属性で、どのような商品に興味を持っているのか、購入しているのかを把握すること、すなわち顧客接点を統合した顧客データベースを構築することが重要です。

一方、顧客データベースは、一度システムを決めてしまうと切り替えは難しいものであるため、どのように構築するかについて慎重な判断が求められるものになります。

そこで、弊社が考える、顧客データベース構築において重要な3つのポイントについて説明します。

顧客データベースを構築するうえで重要な3つのポイント

顧客データベースを構築するうえで、重要であると考えているのは以下の点です。

  • 欲しい顧客情報が適切に取得できる
  • 幅広い施策と連携可能である
  • 適宜拡張できる柔軟性がある

※個人情報管理が安全に行えるプラットフォームであることが前提です。

それぞれの内容について、以下で詳しく説明します。

顧客情報を集約するうえで、当然ながら「取得したい顧客情報が取得できる」ということが必要ですね。

顧客にまつわる情報としては、顧客の姓名などの情報に加えて、誕生日のようなマーケティングに活用できる情報、いつ、どこで、何を購入したのかという購買情報などが存在します。

現在のお客様とのコミュニケーションにおいて、どのような情報を利用しているのか、利用したいのかを考えていくことが重要です。

顧客情報を適切に集約することは、それ単体では収益改善や顧客満足度向上に繋がるわけではなく、集約された情報を用いて顧客への適切なアプローチを図ることと一体的に考える必要があります。

例えば、「顧客情報を活かしてモバイルアプリは簡単に構築できるが、LINEとの連携が困難」などの制約があるデータベースを利用する場合、施策の幅が狭まってしまい、顧客の求める情報提供ができなくなる可能性もあります。

事業を継続的に運営する中では、「取得する顧客情報を増やしたい」と考える場面も多数発生します。
また、外部環境が激しく変化する中、企業として作るべき顧客接点は継続的に変化、拡大していきます。

このように新しい情報を格納したい、新しい施策に挑戦したいと思ったときに、迅速にそれらの挑戦ができるような拡張性のある基盤であることは、中長期的な事業運営の幅に影響を与えます。

すべてを予見することは難しいですが、顧客データベースは一度作ってしまうと容易に切り替えることは難しいものですので、時流に乗ったアップデートを行っているプラットフォームであるか、自社向けの項目追加が容易に行えそうか、を見極めることは重要と言えるでしょう。

顧客管理データベースとしてShopifyを活用することがおすすめな理由

店舗・ECのオムニチャネル会員連携アプリ「Omni Hub」では、顧客情報をShopify(オンラインストア)に集約し、顧客データベースとして利用できるようにするご支援をしています。(※1)

Shopifyに顧客情報を集約することで、メタフィールド等、Shopifyの柔軟な顧客管理を活用することができるとともに、Shopifyと連携する多数のマーケティング系アプリと連動することができるため、会員ランク設定やモバイルアプリ活用、LINE活用、メールマーケティングなど、幅広い施策を行っていくことができるためです。

(※1)「Omni Hub」における顧客情報連携の仕様は、下記サポートページをご参照ください。
https://omni-hub.notion.site/Shopify-ccb3c731b1584b5db93c295c600b43cd

顧客データをShopifyに統合することで実現できる施策事例

では、Shopifyに顧客情報を集約することで、どのような施策が実現できるのでしょうか。店舗と連動した施策事例について確認しましょう。

ハーブ、アロマテラピー商品を展開する「生活の木」では、従来店舗で顧客情報を取得できていませんでした。Shopifyへの移行とともにOmni Hubを導入し、店舗・ECをまたいでお客様がどのような商品を購入したかを確認できるようになりました。
また、生活の木では、メールマーケティングツールとしてShopifyと連携する「Klaviyo」をあわせて導入しました。Shopify上で、各顧客の店舗・ECを横断した顧客情報を適切にセグメントし、お客様の興味に合わせてメールマガジンの出し分けができるようになりました。
このように配信されたメールマガジンの開封率は50%を超えることもあり、顧客に合わせた情報発信ができていることを裏付けています。

また、Bean to Bar Chocolateブランドである「Minimal」では、東京都内で実店舗を4店舗展開していますが、各店舗のコンセプトは大きく異なります。
そのため、「色んな店舗に足を運び、世界観を感じてもらいたい」と考え、1つの店舗に来訪したお客様には、他の店舗のコンセプトを紹介、来訪を促すメッセージを配信して、買い回りを促進しています。

LINEは気軽なコミュニケーションの接点として有用である一方で、安易な販促ばかりの発信はお客様に見逃されたり、ブロックされたりする可能性もあり、配信のタイミングやコンテンツの制御が非常に重要なツールであると言えます。
そんな中、直接の販促を目的とせず、店舗やオンラインストアで商品を購入したお客様に、LINEでお礼のメッセージを届ける事業者も増えています。

表参道にショールームを構えるタオルブランド「育てるタオル」においても、来店のお礼を伝えるLINEメッセージを配信しています。
ただ、配信タイミングは来店後即時ではなく、当日の20時としています。こうすることで、来店後帰宅しているタイミングに合わせてLINEをゆっくり確認してもらうことができるようにしているのです。

これらの事例は、すべて特別な開発などを行わず、各種ツールの管理画面上の設定のみで実現できているものです。安価かつスピード感を持って、より良い顧客体験作りを図れることは、環境の変化の激しい時代の中で、大きな優位性を生みます。

まとめ

顧客に合わせた体験を構築するためには、それを支える顧客データベースが必要です。
顧客データベースで保持している以上の施策を行うことはできませんし、顧客データベースに多くの情報が存在していても、施策に転用できない限りは宝の持ち腐れになってしまいます。

より良い顧客データベースをどのように作っていくのか、迷われたらお気軽にOmni Hubチームへご相談ください。