
「顧客管理」が重要となる背景
物価上昇や人口減少などの外部環境の変化を受け、これまでの「良い商品をつくれば売れる」といったこれまでの “まず商品ありき”の姿勢から一歩踏み出し、一度接点を持ったお客様との関係性を深めることの重要性が高まっています。
地場に根ざして少人数で経営するスモールビジネスでは、「リピーターさんの買ったものや好きなものはだいたい覚えているよ」「常連さんの気に入る商品ができたら、すぐに個別で連絡しているよ」という方も多いのではないでしょうか。
このような「お客様一人ひとりのことを理解し、その人に合ったコミュニケーションをする」ことは、事業のファンを作っていくための重要な一歩です。
一方で、事業が拡大し、お客様やスタッフの数が増えるにつれて「お客様のことを覚えられなくなった」「スタッフによって接客の質に偏りが生まれる」といった課題が生まれやすくなります。
こうした状況に対応するために、一度接点を持ったお客様との関係を継続的に築き、再来店や再購入につなげていくための土台として、「顧客管理」の取り組みが重要になっています。
しかし、「顧客管理」はお客様の情報を取り扱う必要があるため、「大手向けの仕組みでは?」「うちにはまだ早いかな」と感じている個店やスモールビジネスを運営している方が多いことも事実です。本記事では、顧客情報を取得することのメリットや実際に取り組む際のポイントを解説します。
「顧客管理」とは
顧客管理とは、小売やサービス業において一度接点を持ったお客様の情報を取得・管理し、その後の関係性構築に活かすことです。
名前や連絡先などの基本情報に加え、購入履歴や来店頻度などこれまでの利用状況を管理しておくことで、再来店や次の購入につながる次のアクションへつなげやすくなります。
スモールビジネスにおける「顧客管理」の効果とは
お客様との関係性が深いスモールビジネスでは、すでに「顔が思い浮かぶ常連のお客様」がいらっしゃるのではないかと思います。
「顧客管理」を行う意味とは、このようなお得意様とのこれまでのお付き合いを思い出し、「似た好みを持つ方にもファンになっていただく」「どの店舗スタッフでも同じようにお得意様にご満足いただくサービスを提供できるようにする」取り組みだと言えます。
スモールビジネスには、お客様との関係を深めたり、新たなファンを増やしていくうえで、次のような強みがあります。
- スタッフが日頃からお客様の顔や好みを把握している
- 社内の関係者が少なく、判断や対応を柔軟かつスピーディーに進められる
これらの強みは、顧客管理を取り入れることでさらに活かされます。
顧客管理によって、お客様の購入履歴や興味関心が可視化されると、普段の接客で得ている印象に“根拠”が加わり、より一人ひとりに合わせたコミュニケーションがしやすくなります。
顧客管理のやり方 — お客様情報を取得する
では、具体的に顧客管理はどのように行うとよいのでしょうか。
顧客管理の第一歩は、お客様の情報を適切に取得することです。
名前やメールアドレス、電話番号といった基本情報を集めることで、新商品の入荷案内やイベント情報、クーポンの配信などが行えるようになります。
さらに、次のような情報も把握できると、お客様一人ひとりに合わせたご案内がしやすくなります。
- どんな商品を購入しているか
- どのようなイベントやキャンペーンに参加しているか
- どんなジャンルやテーマに関心を持っているか
これらの情報を踏まえることで、「このお客様には次にどんな案内やコミュニケーションが喜ばれそうか」といった判断が容易になります。
複数の接点をまとめて、顧客理解を深める
店舗・EC・POP UPイベントなど、さまざまな接点でサービス運営している事業者様では、複数の顧客接点を一元管理することで、お客様の利用状況やブランドへの愛着をより立体的に捉えられるようになります。
たとえば、店舗によく来店されていた方を最近は見かけないなと思ったら、実はECサイトで購入されるようになっていた。こうした動きは、店舗だけの購買データを見ていると気づきにくい変化です。
さらに、ポイント制度を運用している場合は、店舗とECでポイントが共通になることで、「どこで買っても同じようにポイントが貯まって使える」という状態になり、購買体験が向上します。その結果、お客様にも喜んでいただけるでしょう。
こうした “お客様と出会う場所を横断した顧客情報の一元管理” は、いまでは事業規模にかかわらず、さまざまな場面でサービスを提供する事業者様にとって重要な取り組みになってきています。
実際に、タオルメーカーの「育てるタオル」さまでは、少数の実店舗運営ながら、店舗とECの顧客情報を統合し、さらにLINEでのコミュニケーションを組み合わせることで、お客様一人ひとりに合わせた取り組みを進めています。
顧客情報の取り扱いは慎重に
顧客管理を行う際には、お名前や住所、生年月日など、お客様の個人情報を取り扱う必要が発生します。顧客管理を始める際には、適切に管理できる体制を構築したり、従業員へ教育を行うようにしましょう。
さらに、個人情報保護方針やプライバシーポリシーを作成し、どのように情報を扱うのかをお客様に説明しておくことも必要です。
思わぬ問題を避けるためにも、データの管理方法やお客様への案内について慎重に検討してください。
まとめ
顧客管理は、すぐに大きな価値を生み出すものではないですが、事業を安定して運営するうえではスモールビジネスにとっても重要な取り組みです。
お客様の基本情報や購入履歴を把握しておくことで、次の来店や購入につながるアクションが取りやすくなり、日々のコミュニケーションにも活かせます。
こうした小さな積み重ねが、お客様に寄り添った体験の提供やお店への愛着、そして売上の向上につながっていきます。
本記事が顧客管理について考えるきっかけになりましたら幸いです。
店舗とECを統合した顧客管理をご検討の際は、ぜひお気軽にOmni Hubチームへご相談ください。