店舗運営の現場では、日々の接客を通じて、お客様のより深い情報を把握することも多いでしょう。例えば「お客様は家族連れだった」「Instagramでお店のことを知った」など、購買そのものでは分かりづらいお客様の状況をより正確に把握することで、お客様との関係構築に役立てたい、という事業者様は多いのではないでしょうか。
クラウドPOSレジの「スマレジ」を利用すると、このようなお客様の情報が「取引タグ」「客層」として会計に記録されます。さらに、店舗とECの会員・購買情報を一元化する「Omni Hub」では、このスマレジで取得された「取引タグ」や「客層」に加えて、その会計を行った「販売員」の情報をShopifyへ連携することができ、これによりオフラインとオンラインをまたいだ施策を実現できます。
本記事では、「会計時に取得した情報を元に、お客様に合わせた施策を行う」ことについて、具体的な施策アイデアを紹介します。本記事を参考にして、一味違う顧客体験づくりを目指してみましょう!
参考ヘルプ:スマレジ → Shopifyの取引連携をより活用する設定

取引タグの活用術
スマレジの「取引タグ」とは、取引ごとに任意のタグを登録できる機能です。スマレジ管理画面上で取引タグごとの売上集計ができ、キャンペーンやイベント施策の分析に役立ちます。
スマレジヘルプ:値引区分・割引区分・取引タグを作成する
取引タグ機能は、会計時の際に任意で情報を追加できるのが特徴です。複数のタグを同時に付与することもできます。
この「取引タグ」を利用した施策例を見ていきましょう。
特定の顧客属性でポイント倍率をアップさせる
店舗を訪れたお客様の属性に合わせてスタッフが取引タグを付与することで、ポイント倍率をアップさせたり、固定値のポイント付与を行うことができます。
たとえば、雨の日にお越しいただいたお客様への感謝として「雨の日ポイント」を付与したり、マイバッグを持参された方に「マイバッグ持参ポイント」をプレゼントする、といった柔軟なポイント施策が可能です。
なお、取引タグ(注文タグ)を条件としてポイント付与するためには、Omni Hubと併せて「どこポイ」もしくは「VIP」アプリの利用が必要です。
どこポイを利用している場合、どこポイのアプリ管理画面よりキャンペーン付与設定を行います。

VIPを利用している場合、Shopify Flowを利用してポイント付与を行います。

VIP顧客などの特定顧客についてオンラインストアに共有する
店舗スタッフが把握している顧客情報をオンラインストアにも共有したい場合に、取引タグを簡易メモのように活用することができます。
会員情報管理を始める前から来店されている常連のVIP顧客や、慎重な対応を要するお客様など、オンラインストア側に共有したいお客様情報について、スタッフが会計時に取引タグを付与します。
これらの取引タグをもとに、対象のお客様へ顧客タグを付与することで、店舗スタッフが把握する情報を、オンラインストア側でも活用しやすくなります。
【Shopify Flowの設定例:スマレジ取引タグをもとに、Shopify顧客にタグ付けする】

会員限定値割引施策の利用ログを取る
スマレジには、値引/割引をワンタップで適用し、同時に取引タグの付与もできる「クイックコマンド」という機能があります。
スマレジヘルプ:クイックコマンド設定(複数コマンド)
この機能を活用することで、「会員限定クリスマス割引利用」といった値引き施策と同時に、該当する取引にタグを付与することが可能です。これにより、特定の施策の利用状況をShopify上で把握できるようになります。
さらに、Shopify Flowなどを併用して、該当注文をもとに顧客タグや顧客メタフィールドを自動で付与するよう設定すれば、「値引き施策を利用した顧客」のセグメントを自動的に作成・更新することもできます。
「秘密の合言葉」やSNSフォローによるクーポンプレゼント企画を行う
お客様が「ブランドのSNSフォロー」などの特定のアクションをした際に取引タグを付与することでクーポン等をプレゼントすることが可能です。
たとえば、Instagramで「会計時に◯◯の合言葉を伝えると、オンラインストアで利用できるクーポンプレゼントキャンペーン実施中!」とすると、店舗を利用するお客様にオンラインストアを知ってもらう機会も増えるでしょう。
客層の活用術
スマレジの「客層」では、性別や年齢層などの情報を、取引時にスタッフが選択する形式で登録できます。スマレジ管理画面上で客層ごとの売上集計が可能になります。
スマレジヘルプ:客層を管理する
なお、スマレジの機能名としては「客層」ですが、任意の分類や選択肢が作成できます。
ただし、全て会計で入力が必須となるため、レジ会計時の工数が増加する点はご留意ください。
「マイバッグ持参」のような一部のお客様の行動の取得には「取引タグ」を、「20代、30代」などの全てのお客様での情報取得には「客層」を使うと良いです。
Omni Hubでは、スマレジの「客層」をShopifyの「注文のメタフィールド」として連携させます。
この「客層」を利用した施策例を見ていきましょう。
客層に合わせたCRM施策を行う
店舗を訪れたお客様の客層をスタッフが入力することで、客層に合わせたCRM施策の展開が可能です。例えば、お客様が家族連れの場合、「ファミリー」という客層を入力し、その後送付するメールは家族連れに向けたものとすることによって、お客様がそのメールを「自分ごと」として受け取ってもらえるでしょう。
Shopify Flowを活用し、注文メタフィールドを条件に、配信されるメールの内容が分岐するように設定することで、自動でメール配信をパーソナライズすることが可能です。
あわせて顧客タグや顧客メタフィールドに客層情報を追加することで、客層ごとに顧客セグメントを作成することもできます。
【Shopify Flowの設定例:客層ごとにメッセージを自動配信する】
この例では、客層ごとに顧客タグを付与しつつ、メッセージ内容を自動で出し分けています。

※画像の例ではLINEを利用してメッセージ配信を行っています。LINEではなく、別のメッセージ配信ツール(Shopify メール等)を使うこともできます。
【顧客セグメント設定例:特定客層の顧客セグメントを作成する】
まずはShopify Flowを使って、客層ごとに顧客タグ等を付与してください(設定方法は上記の画像をご参考ください)。
その後、顧客セグメントを作成します。
顧客タグを利用してセグメントを作成する場合は、customer_tags のフィルターを利用し、指定の客層のタグを持っている顧客を絞り込みます。

来店の「きっかけ」を記録する
店舗での接客時、お客様に「どこでお店を知ったか」を伺うことで、来店経路を把握することができます。たとえば、「Instagramを見て」「Googleマップで検索して」「ホームページから」といった認知経路は、今後の集客や広告施策を考えるうえで非常に重要なヒントになります。
スマレジの客層機能で「認知経路」というセクションを作成し、主な経路(Instagram/Google/HP/看板など)を選択肢として設定します。
この情報は、Omni Hubを通じてShopifyに注文メタフィールドとして連携されるため、Shopify上でもお客様の認知経路を活用したセグメント配信や分析に活用できます。
顧客セグメントの作成については、前述の設定例をご参考ください。
スタッフ(販売員)情報の活用術
スマレジの「スタッフ(販売員)」とは、どのスタッフが販売を担当したかを記録できる機能です。スマレジ管理画面上でスタッフ別の売上を確認することができます。
スマレジヘルプ:スタッフ(販売員)を指定して販売する
Omni Hubでは、スマレジの「スタッフ」をShopifyの「注文のメタフィールド」として連携します。
「スタッフ」情報の活用方法として、例えば以下のようなものが挙げられます。
スタッフからの「私信風メール」を送る
注文メタフィールド内の販売員情報を利用して、購入後の御礼メッセージ内にスタッフの名前を入れることが可能です。Shopify Flowを使い、スタッフごとに文面をカスタマイズしたメッセージ配信ができます。指名接客や、魅力あるスタッフによる接客を行っているブランドに最適です。
【Shopify Flowの設定例】

スタッフ別の接客アンケート送信
店舗スタッフの接客に対するお客様の評価は、事業者やスタッフにとって多くの発見が含まれるものですが、中々多くの声を集めることが難しいものです。
Omni Hubによってスタッフ情報をShopifyに連携することで、スタッフの接客に対する評価を集めることができるようになります。
HEAVEN Japan様では、スタッフ情報をShopifyに連携し、活用した施策を展開しています。
店舗で販売を担当したスタッフごとに、お客様へのアンケートを出し分けることで、より細かくデータを分析し、お客様の満足度向上に役立てています。
おわりに
日々の接客を通じて得られるお客様の情報は、店舗内だけにとどめるのではなく、オンラインストアでも活用することで、より一層の顧客体験向上につなげることができます。
Omni Hubを活用すれば、会員情報だけでなく、取引タグ・客層・販売員といった接客時の細やかなデータを施策に生かすことが可能です。
本記事を通じて、施策のヒントや活用のイメージを持っていただけたら幸いです。設定についてなどご不明な点がありましたら、Omni Hubチームまでお気軽にお問い合わせください!